[瞳を閉ざすその一瞬に」

多くの人にも出会っただろう
名前なんて 覚えている方が少ないに決まっている

だけど

それよりも多くの人との 別れがあった
後悔した 別れもあった
知らない 別れもあった

そう 自分の中にあるものは後悔でしかないだろう
きっとこの 右手を持つものは誰だってそうだ

けれど

忘れられない出逢いがあった
忘れられない 別れがあった
もう一度 という約束をした
そう もう一度 出逢う はずだったよな

後悔は ある
だって こんなにもお前に もう一度逢いたかった

けどな

お前との 別れを見ずに済むことに
お前との 最期の瞬間を共にせずに済むことに

…殴られるから 言わないでおく けど

でも 言わないと 泣いてしまうかもしれない から

こんなにも 君を愛していた と
自分にも 確かに幸福な瞬間はあったのだ と
安心 出来たんだよ

だから

俺は 総てを託して眠ることが出来る
右手を 重ねて 後悔も 重ねて

俺は 総てを託して眠ることが出来る
今まで ごめん これからも ごめん

後悔も 魂も 涙も  過去 も
親友 と 呼びたい
…一生涯たった一人の親友に
何もかも 受け渡して 俺は眠る

こいつにあったら お前は泣くだろう
それを俺は望まないけれど そうなるだろう

想い だけは 俺が持ってゆくから

お前との日々は 俺が 持って 逝くから

最期の 一生分のお願いだ
君の薬指の銀色に口付けて

少しだけ 泣いてくれ

[投稿者様コメント]
ぶっちゃけてしまえばホントに不幸な終わり方ですが、
彼が幸せだった、と想える瞬間が少しでもあれば
救われるなぁ、と思って書きました。