珍・学園無双〜外伝〜
〜 雨の日と月曜日は・1 〜
ここ、無双学園には月一のイベントとして『誕生会』と言うのがある。
それは名前の通り、その月の誕生者を祝う会なのだが、今月は丁度の誕生日でもあった。
イベントものはオリエンテーションの中に含まれるので、前の週の金曜日に結構されたのだが、その三日後……今日は本人の誕生日だった。
この歳でバースデープレゼントがもらえるはずもなく、親からはただ「おめでとう」と書かれたメールが届く。
受信履歴は今朝6:00頃。
それを朝イチで見てクスリと笑いながら、彼女は身支度を整えて学園へ向かった。
「ふあ〜!ねみー」
「眠そうな声を出すな」
「んあぁ?」
まったりペースで歩きながら廊下を歩いていると、後ろから馬超が彼女の頭をポンと叩く。
「あぁ馬ッチか。おはよ〜」
「T馬ッチか″って何だ。失礼な………」
「うっせ〜グリグリすんな!」
その挨拶に顔を顰めながら、馬超は彼女の頭をグリグリし出す。
それを手でペチッと払いながら、は大欠伸をした。
ふと何かを思いだしたのか、馬超が払われた手をひらりと振りながら、彼女の顔を覗き込んだ。
「そういえば…。お前今月誕生日だったよな?」
「うん、そーだよ〜ん」
「何日だ?」
「今日だけど〜?」
「何っ!?」
今日と言うのを始めて知ったのか、彼は驚愕する。
そして「む」と言ったきり、何かを考え込んでしまった。
「……どしたの?」
「いや、なんでも……」
それだけ言うと、彼は「先に行く」とだけ呟いて教室へと走って行った。
「なんだろ……?」
そんな彼の背を見つめ不審に思いながらも、はマイペースに教室へと向かった。
「飲みだ、飲み飲み!!」
「何言ってんだ〜?カラオケに決まってんだろ〜?」
「おい!」
が教室へ入ると、典韋と孫策が何やら騒いでいた。
それを、彼女が入って来たのを見つけた馬超が止める。
「何ナニ?どしたの?」
「お前には関係……」
「それがよ〜。孟起が『の為に誕生会やる』ってんだぜ〜?」
「も女冥利につきるよな!」
楽しそうな三人に笑顔で近付いたに馬超が関係ない、と言おうとするが、孫策・典韋がそれに気付かず内容を暴露する。
「え、マジ〜?」
「指揮は孟起が取るって言ってたぜ〜」
「楽しみにしてろよな!」
「お前等っ……!!」
それにがキャッとお得意のポーズを取って喜ぶと、二人は更に暴露し出し馬超が舌打ちをした。
「ありがと〜馬ッチ!」
「おう」
に満面の笑顔で礼を言われると、馬超はバラされたのが面白くなかったのだがすぐに機嫌を直し、少し照れくさそうにそう返した。
「さ〜ん!」
「ん?伯約に伯言じゃん。どした〜?」
バタバタと走って来たのは姜維と陸遜。
美少年×2+白い歯で、爽やかさ二倍。
そんな二人の周りは十代なピチピチオーラのおかげか、キラキラ・ティカティカと輝いていた。
「さん!確か今日がお誕生日ですよね?」
そう聞いてきたのは姜維。
人なつこい笑みを向けて、ニッコリと笑っている。
「誕生日だけど……どした?」
「はい!宜しければ誕生会を開きたいと思いまして……」
が不思議そうに二人を見つめていると、姜維に続き陸遜が言葉を繋いだ。
「え!?伯達まで?」
「え?」
「私達まで、ですか?」
姜維・陸遜にまで祝ってもらえると思って言った言葉に、二人が反応する。
当の二人は自分達が一番乗り、と考えていたのか、首を傾げた。
「俺達が先だ」
「あ、馬殿」
「済みません、気付きませんでした…」
その考えが読めたのか馬超が突っ込みを入れると、二人は「今あなたの存在に気がつきました」と言う顔で彼を見つめた。
「……………」
「……………」
「……………」
ふと見えない闘志がこの三人を包む。
「あ…………じゃあさ。皆であたしの事祝ってよ!」
馬超vs姜維・陸遜の微妙な雰囲気に、典韋と孫策は「何だ?」という顔をしていたが、それに気付いたが機転を利かせる。
「三人とも、駄目かな?」
「む……?」
「え?は、はい……」
「……分かりました」
鶴の一声!
結局睨み合っていた三人は、納得のいかない表情で頷いた。
「じゃあ時間、どうしよっか?」
「そうですね……」
「あ、子龍兄」
の背後からコッソリと忍び寄って、いつも通りの登場をしたのは趙雲。
その登場の仕方にも慣れたのか、彼女は驚きもせずに笑顔を作る。
「え、子龍兄も祝ってくれるの?」
「何言ってるんですか。当たり前でしょう?」
「えへへ〜!ありがと子龍兄!」
「ふふ、どういたしまして」
兄貴分の腕に手を絡めながら、仲良し組み+二伯+趙雲の参戦に笑顔が絶えないだった。