珍・学園無双〜外伝〜
〜今の所……〜
「キャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜☆☆☆」
いつもと同じ、いつもと何ら変わらない学校での休み時間、急にそんな黄色い声が上がった。
「ちゃん見てみて〜!周先生だ〜〜〜〜!」
「あ、あぁ。そうだね………」
と、黄色い声の主小喬、そしてそれとは対照的な呆れ顔のが、ある一点を見つめていた。
その先にいらっしゃったのは、無双学園二学年副担任であり、『美周朗』と名高い周瑜先生。
その美貌は、シャレんなんないぐらいに男女共に評判が高い。
また「あの血の気の薄さが、更に彼の美に輪をかけているのです!」と某二学年担任のT・K先生も評価する程。
美し過ぎる周瑜先生。
そんな彼に、黄色い悲鳴が上がる等、日常茶飯事だった。
周瑜先生は悲鳴を上げたのが小喬だと分かったらしく、こちらに視線をやると、微笑みながら近付いて来た。
「おはよう、小喬君。君」
「キャ〜〜〜〜!周先生おはよ〜〜☆」
「おはようございます……」
周瑜先生が白い歯を覗かせて言うと、小喬は更にテンションが上がったようだ。
それに少々引きつつ、が挨拶を返す。
「〜!孟起が呼ん…………………っと」
と、そこへ孫策が顔を出した。
「あれ?孫君どした?」
「んあ?あぁ。孟起が呼んでたぜ〜!」
「うん、分かった」
孫策に面倒かけてごめんね?と言い、小喬をその場に残し、周瑜先生に軽く頭を下げて、は教室へと入って行った。
「おっす!」
「あぁ、おはよう伯符」
を見送った後、孫策がニカッと笑いながら片手を上げると、周瑜先生も軽く微笑んで挨拶をする。
この二人は旧知の仲で、とても仲が良い。
それを知っているのは孫策・周瑜先生・そして孫策の彼女の大喬。
大喬の妹であるはずの小喬が何故その事を知らないのかと言うと。
ただ単に、孫策や大喬からそういった話を聞かなかっただけ。
「周先生〜☆」
「どうした?小喬君」
「あのね、お願いがあるんだけど〜…」
「お願い?」
会えただけで嬉しい!という満面の笑顔の小喬につられて、思わず孫策と周瑜先生も微笑む。
「今度、どっか遊びに連れてって〜!」
「えっ!?」
小喬のいきなり大胆なTお願い″に、少し焦った声を出した周瑜先生。
「し、しかし………」
「あたし周瑜先生と二人きりで遊びに行きたいんだも〜ん!」
困った顔をした周瑜先生に、小喬が食い下がる。
「だが、流石に二人きりというのは………」
周瑜先生は、普段はクールビューティー&ポーカーフェイス。
めったに顔色を変えない先生である。
それが、小喬に誘われただけで、本当に困った顔になった。
何かと葛藤する様に………。
それもそのはず。
何故なら周瑜先生は、小喬に気があったから。
彼は入学式で彼女を見かけた時から、心を奪われてしまったのだ。
明るく元気で、それはまるで華が綻ぶ様な笑顔。
自分を見つけると、嬉しそうに駆け寄って、「あのね、あのね!」と話し掛けて来る。
見かけや内面は少々子供っぽいが、何故かそれでも自分の心は暖かくなる。
そんな周瑜先生。
きっと今、頭の中では天使と悪魔が鍔迫り合いを繰り広げているであろう。
周悪魔『これは二人っきりで行くしかないぞ!』
周天使『何を言っている!相手は自分の学校の生徒だぞ!?』
周悪魔『ふん!そんなもの、恋する男と女の前では変わらぬ!』
周天使『何だと!?この国では16歳以下は法律で……』
周悪魔『法律なんて破る為にある様なものだ』
周天使『大体、どこからどう見たって援助交際だろう!!』
すると、周瑜先生の葛藤を見抜いたのか、孫策が近付いて来て、耳打ちをした。
「なぁ。お前ら二人きりだと良くねぇってんなら、俺等も付き合うぜ?」
孫策曰く、『教師と生徒二人きりが引っ掛かるなら、自分と大喬も一緒に行くぞ?』と言う事らしい。
なるほど、それならば他の教員や生徒に街でバッタリ出くわしても、適当に言い繕えば何とかなるだろう。
「ふむ………それならば」
「決まりだぜ〜!」
普段は、頭がからっきしの親友に心で感謝し、周瑜先生は小喬に「週末なら…」とYESを返した。