[英雄戦争]



 太陽暦475年。
 それより50年前、秘密裏に結ばれた『不可侵条約』の期限を過ぎたとして、グラスランドに対しハルモニアによる侵攻が行われた。
 その最中、ハルモニアからの侵攻を防ぐため、『真なる火の紋章』を継承した英雄ヒューゴによって50年前の『炎の運び手』が、グラスランドとゼクセン騎士団によって再結成される。
 ハルモニア軍指揮官ササライは、『破壊者』と呼ばれる一行によって軍全体が踊らされていたことを察知。
 破壊者と呼ばれる者たちの目的である『真なる紋章の破壊』、そして『世界の秩序の破壊』を目論んだとして、彼は、運び手に『一時休戦』という条件付きで力を貸した。

 これにより、『炎の運び手』対『破壊者』という図式が成り立った。






 ─経過・省略─






 炎の運び手は、幻術や召還術を使って行く手を阻もうとする破壊者たちを、リザードクランの北にあるシンダル遺跡にて滅した。
 破壊者とされる者たちは、自らが引き起こした戦によって、命を落とす結果となった。

 こうして、二年に渡る『英雄戦争』は、幕を閉じた。






 だが・・・・・・・・それだけでは、終わらなかった。






 英雄ヒューゴの提案で、クリス、ゲド、ササライと他名乗り出た者たちによって、最後の決戦の場である遺跡へ、破壊者の生死を確かめに向かった。
 その際、現れた何者かの手によって、真なる風の紋章や破壊者たちの亡骸を奪われただけでなく、英雄たちも深い眠りをかけられた。



 目覚めた後も、英雄や同伴していた者たちは、誰もその『人物』の名を語ることはなかった。
 それだけが、闇の彼方へ葬られた。

 その謎の人物を、筆者である私自身、ついに明かす事ができなかったのだ。






 ─太陽暦475年〜476年・『第二期・英雄戦争』より/著者・アーサー=ゲイン