[兄とあたしと弟]






兄貴分二人との喧嘩も終了し、休み時間も終わりさぁ次の授業!と思っていた

2学年なので教室に戻ると言った趙雲と別れを告げて、自分の席に着席した。

ふと次の授業は何だろう?と気になったので、隣の席でぼーっとしている馬超に聞く。



「ねーねー。次って何?」

「お前…予定表も見てないのか……」

「だって部屋に忘れて来ちゃったし」

「はぁ………」



全く授業内容や予定を把握していないに、馬超は呆れ顔で溜め息を付いた。



「数学とかだったら嫌だなぁ……」

「苦手か?」

「うん、ぶっちゃけ高校の頃とか0点取った事あるし」

「ふっ……馬鹿なんだな」

「うっさい黙れ馬鹿ッチ!」



何度やっても飽きないのか馬超とが言い合いを始めるが、この二人を止めてくれる趙雲はもう自分の教室に戻ってしまっている。



「ほぉお?0点取る奴に、馬鹿と言われたくはないなぁ?」

「うっせー!……っていひゃいんですけろ?(痛いんですけど)」



に馬鹿ッチと言われたのが効いたのか、馬超は口をヒクッと引き攣らせて仕返しとばかりに彼女の頬を引っ張った。



「いひゃいっつってんれひょ!(痛いっつってんでしょ)」


も腹が立ち、彼の両頬を砕けよとばかりに押しつぶした。


「ふゅ……いひゃくもかゆくもないにゃ(ふ…痛くも痒くもないな)」

「ばっふぃ、なにいってぃるかわかんないかふぁ(馬ッチ、何言ってるか分かんないから)」



この会話が成り立たない状況で、先に手を離したのはだった。

勝った、とニヤリ笑って馬超も手を離す。



するとの後ろの席からクスリと笑う声が聞こえた。

声の方へと二人が一斉に振り返ると、姜維が一部始終を見ていたのだろう。

クスクスと笑っている。



「伯約、笑わないでよ!」

「姜、貴様っ……笑うな!!」

「あはは!すみません、余りにお二人の息がピッタリなので……」



姜維が一通り笑うのを見つめ、次にお互いに顔を見合わす。

二人とも互いの攻撃が中々痛かったので、すぐにプイッと横を向いた。

それを見て、また姜維は笑ってしまう。



「はは、行動も一緒ですね!」

「伯約、うっさいよ!」

「姜、シメられたいみたいだな?」



あっ、と思ってももう遅かった。

姜維は次の瞬間には後ろから馬超に羽交い締めにされ、前からはが彼の脇腹をくすぐる。



「あ、ちょっやめっ……あははははは!!」



見事な二人の連携プレーに姜維は抵抗も出来なければ、力では馬超が上の様で脱出するにも出来ない。

しかもあろう事か、悪戯心が湧いてしまった馬超が、耳にふうッと息を吹き掛けて来た。

はっきり言って気持ち悪い。ってゆーか男から吹き掛けられるのは屈辱だろう。



「参ったか、伯約ぅ〜!うりゃー」

「どうだ俺の吐息は?シビれるだろう?先輩を笑うとはとんでもない後輩だから、躾けてやらないとな!」

「す、すみません、んぅ〜……あははは!許して…ひゃっ、ははは!!」



結局にくすぐられ続けても、馬超に桃色吐息をかけられ続けても、姜維は脱出する事は出来なかった。










「面白い奴だな!」

「可愛いよねー、伯約って」

「はぁ…はぁ…ううぅ………」



やっとの事で解放された時には、姜維はもうズタボロな状態だった。

の攻撃も中々だったが、それより何より馬超の吐息攻撃が彼の体力・神経共にすり減らしたのだ。



「からかいがいがあるな」

「イジられキャラっぽくない?」

「そうだな。これから楽しめそうだ」

「あはは!可愛い弟出来たって感じ」

「あうぅ……」



と馬超とで盛り上がるが、姜維は会話にも参加出来ない程ゲッソリしている。



『あなどれない…あなどれないです、この学園は!!』



この二人の行動で、新入生姜維の心の中に、無双学園はTあなどれない″と刻まれた。










「良い汗かいたねー」と・馬超コンビがのたまっていると、ガラガラッとドアを開けて担任・祝融先生が入って来た。



「ほらほらぁ、全員席に着きな!!」



先生の登場にザワついていた生徒達が、一斉に着席しはじめる。



「よし!今日の授業はもうないから、各自これにて解散さね」



なんと今日の授業はおしまいらしい。はアレッ?と思った。



「一旦寮に戻って、18:00に教室に集合しな!んじゃ、解散!!」



祝融先生はそう言うと、書類をまとめて教室を出て行った。



「何で六時に集合なの?」

「何って……お前本当に何も………」

「今日は新入生歓迎会らしいですよ?」



全く意味が分からないらしいが馬超に聞くと、かわりに姜維が答えてくれた。



「あぁ、なるほどね〜」

「何ニヤついてんだ、お前」

「楽しみですね、歓迎会!」



何かほくそ笑んでいるに、イヤな予感満載の馬超。そして天然なのか二人の間でニコニコと笑っている姜維。



「だってぇ〜、元譲様に会えるかもしれないじゃ〜ん!」

「何っ!?お前また………」



キャッとお得意のイヤンポーズをして恥ずかしがるの肩を、馬超が思いっくそつかんだ。



「ちょっとぉ!痛いんだけど〜?」

「うるさい!夏侯なんかのどこが良い!?曹も当たり前だが、とにかく俺は許さんぞ!!」

「うっさいなー」

「お前…この俺に向かって………!!」

「はいはいごめんよ」



はめんどくさくなったのか馬超に手をヒラヒラさせて、謝っているのかいないのか分からない態度。

そして馬超の攻撃が再開される前に、姜維に話題を振った。



「ねぇ伯約?良かったらお昼一緒にどう?」

「え、よろしいのですか?」

「うん。この近くにマ○クとかあったっしょ?他には……」

「そういえば、ファミレスもありましたよ?」

「じゃあそっちにしよっか?」

「そうですね!あ、馬殿もいかがですか?」



と何を思ったか、姜維は馬超を誘う。



「俺か……?」

「はい!大勢の方が楽しいでしょうし」

「そだね!だったら子龍兄も誘おうよ!」

「子龍兄?どなたですか?」

「あぁ、あたしのお兄ちゃんみたいな感じの人!すっごい優しくてさ〜。馬ッチと違って」

、また抓られたい様だな?」



馬超が睨み、再びの頬に手を伸ばす。

しかしそれをパチンと手で払い、ははぁあと溜め息を吐いて彼を見上げた。



「馬ッチぃ…何でもかんでもマジに取るなよー。あ、典ちゃんと孫君はどうかな?」

「む…あいつら、さっき話したら予定入っているらしいぞ?」



と馬超は手を引っ込めながら、孫策と典韋がいる方を見ながら言った。



「えー?じゃあ仕方ないか……」

「ま、とりあえずは一旦寮に戻ってからだな……」

「全は急げですね!早く支度をして、帰りましょう!」



姜維の一言で二人は荷物を纏めて、帰り支度をする。

こんな感じで彼女達の昼飯は、ファミレスになった。