[決闘〜各個撃破で宜しく!3〜]






「めでてぇなぁ!」「仲人って誰がやんだ?」「つーか戦えよ!」との声が学園内の所々で飛び交う中。

ラブラブカポー達から目を離して、キャメラを他へ移動してみよう。



・・・理科室inオラオラバトル・・・

甘寧 「滾るぜぇー!!!」

太史慈「ちょ……興覇、お前の乱舞で壁やらドアやらが壊………」

甘寧 「ウォルァア〜〜〜!!!」

典韋 「負けてられっかよ!!」

許チョ「腹減っただ〜〜〜!!」


理科室前による、甘寧以外の超重量級バトル。

だがそれに劣る事もなく、甘寧が止める太史慈をシカトして乱舞をかまし、典韋・許チョの『護衛してねーじゃん』コンビが迎え撃つ。



甘寧 「オラァ!!この甘興覇が止められるかーーーーー!?」

典韋 「わしらをナメんじゃねぇぞ!!」

太史慈「だから待………うぉっ!?」

許チョ「腹減っただ〜〜〜!!!」



当たりにくい甘寧の乱舞を、典韋が気合いで受け止める。

男臭い二人の、汗臭いツーショット(肌密着)に太史慈が更に待ったをかけようとするも、典韋にブン投げられた甘寧が、鼻スレスレで戻って来た。

そして、さっきから許チョが煩い。



甘寧「テメェ!!やりやがったな!?」

典韋「勢いだけで勝てると思ったら、大間違いだぜ!」

甘寧「んだとぉ!?こんの………」

典韋「かかって来いやぁ!!」



甘寧と典韋。

普段は格闘技やら車やらの話で盛り上がる仲良しさんだが、戦いの場となるとやはり違う。

一方は突撃系、一方はパワー系なので迫力満点だ。

しかも二人とも見た目がそっち系にしか見えないので、+αである。



一方、甘寧の相棒である太史慈はため息を付き、典韋の相方である許チョは「腹減っただ〜!」ばっかし。

少しは違う事も言えんのか!!!

そんな太史慈の心の声が聞こえて来そうだ。



甘寧「いい機会だから言っとっけどなぁ!」

典韋「おう!普段言えねぇ事、今ここで言っとけや!」

甘寧「お前、天気の良い日に一緒に歩いてっと………」

典韋「……あん?」



甘寧「目に痛ぇっつーか、眩しいんだよ!!!」

典韋「んなっ!?!?!???!?」



太史慈が目眩を押さえ込もうとしていると、甘寧が突如そう言った。

それに対して、典韋が『心外!!』とばかりに目を見開く。

下らない小学生以下の甘寧の愚痴に、更に太史慈がヨロリと足を振らつかせていると。



典韋「っっっざけんな!!わしだってなぁ!おめぇには言いたい事があったんだ!!!」

甘寧「おう!言ってみてみな!!」

典韋「てめぇのその刺青が………」

甘寧「……あん?」



典韋「ガキの落書きにしか見えねぇんだよ!!!」

甘寧「んだとぉ!!?!???!?」



ここからは、子供の口喧嘩並みな戦いに移行するが目に見えていたのは、もはや太史慈だけではなかっただろう。

放送室からそれを観戦していた甄姫先生は「下らない……」と言い、張コウ先生は「なんとムサ苦しい……」。



周瑜先生は「グはッ!?」と何やら吐血して、祝融先生は「ったく、ガキの喧嘩だねぇ」と苦笑している。

挙げ句、観戦者の孫堅には「聞いていて飽きないな」と笑われ、張飛・曹仁に至っては他のバトルに御執心。

あ、なんかもういいや………という感じで、太史慈はリタイアするべく、喧嘩の収まる事のない甘・典の二人と、未だに煩い許チョを放って、放送室へと歩き出した。



その直後、校内放送で『軍・太史慈、リタイア申し受け候………』との、何とも切なそうな劉備先生の声が響き渡った。

余談だが更にこの直後、ルンルンでスキップしていた軍爆弾兵長・黄蓋により、「喧嘩するなら外でやれーー!!」との台詞と共に、敵味方全てを巻き込む程の爆破が起こった事は、言うまでもない。










そして。

現在張飛と曹仁が執心する程のバトルを繰り広げている、屋上では。



「燃え付きなさい!!」

「ふんふんふんふん、ふーーーーん!!!」



未だに陸遜の火矢と、関羽の薙刀が火花を散らしていた。

しかも至近距離で。

陸遜が射てども射てども、関羽は獲物をクルクルとまるで扇風機のように回して、叩き落とす。



そんな中。

丁度、彼等の攻防を見ていた呂蒙が、とんでもないものを目撃した。



「や、止めて下さい!!」

「良いではないか〜!」



陸遜を関羽に任せた曹操が、大喬にお戯れを仕掛けようとしていたのだ。

ゲヘヘと笑ってお触りしようとするオッサンに、大喬は目に涙を溜めてイヤイヤしている。



「ゲッヘッヘ!恥ずかしがりおって、愛い奴め!」

「キモイヤーーー!!策様、助けて下さい!!!」



曹操の魔の手(セクハラ)が伸びようとしたその時。



「ぶっ飛ばすずぇ〜〜〜〜!!!」

「ブべゴッ!?」

「ナイスです孫殿!!!隙ありぃ☆」



救世主孫策の御登場。

彼は握り締めていたトンファーに力を込め、チャージ2で曹操を浮かす。

どうやら、影で曹操を打ち取る機会を伺っていたようだ。

連携も見事で、流石は燃え燃え同士だ。



そして浮いた曹操目掛けて、陸遜のファイヤーアローが突き刺さった。

だが☆を付けて好青年を装っても、呂蒙は決して騙されなかった。



ボウッ!!



「いてっ…………これマジ痛いってァッツゥー!!!???」



燃え盛る曹操がそう言いながら、矢が刺さったまま着地しようと思いきや。



「堪んねぇずぇ〜〜〜〜!!!」

「マジですかーーーーーー!?」



見事、孫策の真・無双乱舞が決まった。

曹孟徳36歳、若者言葉を使いながら乱舞に飛ばされ、御退場となる。

世界は救われた。



「大喬!!!」

「策様!!!」



悪の化身を倒した孫策は、愛しい恋人大喬の元へとかけよる。

そして二人は抱きしめ合った。

それをやはりウザったそうに見る、一つの影。



「ウザったいですね………」

「ま、まぁそう言うな陸遜…………」

「そもそも、私の策のおかげで大喬殿を救えたのですよ?」

「いや、でもまぁ…………ごふッ!?」

「一々ペラペラペラペラ煩いんですよ、呂蒙殿は。少しは私の気持ちを考えて頂けませんか?」

「ず、ずまながっだ…………」



恋人達を見つめながら、陸遜が『私の策に対して何のお礼もないのか?』と言いたげに眉を寄せると、呂蒙がそれを諌めにかかる。

しかし相当御機嫌ナナメなのか、陸遜は容赦がない。

大将と同じで、一つ何かがキレると、この小僧は危ないようだ。



余談だが、実は『大喬が攫われた!』と聞いた際、彼は孫策とコショコショ話で『私が敵の注意を引き付けますので、その間に大喬殿を救出して下さい!』と打ち合わせしていたらしい。

なのに、孫策は『俺一人で打ち取ったぜ〜』みたいな『ラブラブだぜ〜!』みたいな感じ。

だから陸遜は不貞腐れたのだ。



いい加減堪忍袋の緒が切れたのか、キレ者軍師陸遜は、更に矢を番えた。

それを見た呂蒙、真っ青。



「り、陸遜早まるな………」

「ったく公衆の面前でイチャイチャと………」

「あいや待たれよ、陸殿!!」



呂蒙が慌てて止めるも、全く聞く耳無しな陸遜に、声がかかった。

見るとそこには先程至近距離で火花を散らした、関羽。

陸遜はヒクッと目元を引き攣らせたが、何か喋る前に関羽が彼の腕から火矢を取り上げた。



「な、何をするのですか!!!」

「ふむ、中々良い矢を使っておるのだな……」

「おや?矢の善し悪しがお分かりですか?」

「うむ、かじり程度なのだがな………」

「関殿、実は火矢に興味が?」

「気にはなっておった」

「では、心の友ですね!!」



先程までイラついていた陸遜が、関羽のその一言でパアァとピュアな少年のそれに戻る。

関羽は本当に火矢に興味があるようで、彼の抱えていた矢筒ごと見つめている。



「お、恐ろしい………」



それを見ていた呂蒙は、陸遜・関羽という新しいタッグの予感に、戦慄した。

しかしそれを止める間もなく、彼等二人は背を叩きあって、校舎の中へと消えて行った。



「済まん皆…………俺は奴等を…………止められなかった……………クゥッ!!!!」



呂蒙は思わず男泣き。

そして校舎からは『軍・孫策、夏侯淵軍曹操を打ち取ったり〜!』という声。

なだらかに屋上を吹く風………そして孫策・大喬のイチャイチャ具合が、呂蒙の涙の渇きを遅くした。