珍・学園無双〜外伝〜
〜似たもの同士・4〜
ネチっこい第一回戦終了後。
達は、月英の提案により、渋谷のとあるビリヤード場へと来ていた。
「では、私達が受け付けを済ませて来ますので……貴方達は飲み物でも買っておいて下さい」
と言って、諸葛亮が司馬懿と一緒に受付へと向かう。
「ビリヤード!ビリヤード!」
「もしやさんもお好きですか?」
「程良くですよ。そういう月英さんはかなり好きなんでしょ?」
「えぇ。大好きです!!」
諸葛亮が受付をしている間、と月英は自販機で人数分の飲み物を買いながら、そんな会話をしていた。
ハタから見れば、かなりテンションが上がっている様に見える。
「多分、私と孔明様。さんと司馬殿のペアになると思いますよ?」
「えぇー!司馬さんとぉ!?」
「うふふ……負けませんよ!」
「うわ〜。月英さん強そー!」
そういえば先程、ここへ来る途中に、諸葛亮からこっそりと「月英はこういう遊びが好きでしてね」と教えてもらった。
よくよく見れば、なるほど月英の瞳はキラキラと輝き、いつもとは違った……まるで子供の様な雰囲気だった。
的に、月英と始めて言葉を交わした時、第一印象で『あ。合わないかも……』と感じていた。
理由として上げれば、は真面目でもなければ、頭が良いとか大人っぽい、というワケでもない。
なので初対面での月英は、自分と正反対で礼儀正しく賢く、そして文武両道で凛とした女性というイメージが強かった。
本来、頭が良くて何でも出来て……という人間が周りにいると、どうしてもその人物に対して近寄り難さが出て来てしまう。
故に月英に対する第一印象だけでは、どうしても『多分合わないだろうな〜』と思っていたのだ。
しかし、そんな彼女の固そうなイメージは、今日一緒に過ごす事によって一変した。
「月英さんって初対面とイメージ違いますよね」
「え……?どういう事でしょうか?」
思った事をそのままポソッと呟いたに、月英が意外そうに反応した。
「いや、初対面で話した時に正直『何か固そう〜』って思ったんです」
「あら?」
「でもそのイメージ吹っ飛びましたよ」
とはここで、身振り手振りで『吹っ飛んだ』を大きく表現する。
それに対して月英は一瞬目を丸くした後、急にクスクスと笑い出した。
「ふふっ、そうですか?それは良い事……なのでしょうか?」
「良いも何も、近付きやすくなったって事ですよ〜!」
「有難うございます。どうも私はいつもそう位置付けられてしまうみたいで………」
でも良い意味でイメージが崩れて良かったです、と苦笑しながら月英が付け足した。
「では私とで組めば良いのだな?」
「えぇ。私は月英と組みますので……」
「頑張ろうね!司馬さん!」
「孔明様、絶対に勝ちましょう!」
先程の月英の予想通り、は司馬懿と、月英は諸葛亮と組んでのプレーとなった。
特殊例として、『各チーム交代で打っていく』というルールがついでに付加される。
と諸葛亮はそうでもなかったが、司馬懿と月英というお互いの相方が、ヤケに燃えている。
は、ビリヤードはさわり程度にしかやった事がなく、『皆で楽しめれば良いかな?』という考えで、諸葛亮は『月英が楽しければ良い』と、ビリヤード自体にあまり興味がなさそうだ。
それに対し、諸葛亮の相方月英は『ビリヤード大好き!』と公言するだけあって、かなりヤル気満々で、司馬懿は司馬懿で何か賞賛があるらしく、『ククク……』とほくそ笑んでいた。
「っていうか、エイトボール?それともナインボール?」
「……………司馬殿や月英が楽しめるのは、エイトボールではないですか?」
「ふむ。そうだな」
「それが宜しいですね。その方が楽しめそうですし」
ささやかなの疑問も、結果としてエイトボールとなった。
「ふはははは!!ビリヤードでこの私に勝負を挑むとは……諸葛亮破れたり!!」
と、司馬懿が爆笑しながらキューを手に取れば、
「何を仰います!?孔明様にはこの私が付いているのですから、負けるはずがありません!!」
と、月英が自信満々に言い放つ。
「ふははは!では私がブレイクをしてやろう!!」
「何を勝手な!ブレイクは私がします!!」
「…………………はぁ」
「…………………ふぅ」
そして司馬懿と月英の余りのハイテンションに、もはや諸葛亮とは付いていけないとばかりに、お互いを見遣り溜め息をついた。
結局ジャンケンで先攻・後攻を決めた結果、司馬懿/チームが先攻となった。
「ふはははははははは!!先攻は私が頂いた!!!私達はハイにする」
「司馬さん頑張れー!」
「くっ………口惜しいです孔明様!!」
「まぁまぁ……では私達がロウですね」
たかがジャンケン、されどジャンケンと言う様に、司馬懿は勝ったのが嬉しかったのか大爆笑し、負けた月英は悔しそうに諸葛亮に泣きつく。
は取りあえず自軍の司馬懿を応援し、泣きつかれた諸葛亮は困った様に月英を慰めた。
「では始めるぞ!!」
「司馬さんキメてよ〜?」
「馬鹿めがっ!当たり前だ!!」
と司馬懿がブレイクショットのポジションにつく。
そして低く身を屈め、キューで狙いを定めた。
スゥッと、普段からキツい司馬懿の瞳が、更に鋭くなった。
「はぁあっ!!!」
パカーン!と良い音をさせて、司馬懿がブレイクする。
それにより、ボールは思いっきり散り散りになった。
そのうちの、司馬懿達が入れるべきハイボールが、ガコンッと盛大な音を立てて穴に落ちる。
「ふはははははは!!見たか諸葛亮!!」
「くぅ………上手い具合に散りましたね………」
「司馬さんスゲー!」
「月英、そう気を落とさずに。あなたには期待していますよ?」
司馬懿がこれ見よがしに高笑いをすれば、月英が更に悔しそうに歯噛みする。
「我が策に一切の死角なし!」
「この調子でドンドン入れちゃえ〜!」
とここでの応援で火がついたのか、司馬懿は得意そうに更に笑った。
「ふははははは!次はの番だな!私の足を引っ張るでないぞ?」
「了解しました〜!」
得意の絶頂の司馬懿にチャキッと敬礼をして、今度はが打ちに出る。
「行っきま〜す!」
その掛け声と同時に、は思いっくそキューを前に突き出した。
パキャ…ヘロヘロ……ポコッ。
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「あっ。やっちゃった……」
「ぶわぁかめぐわぁあ〜〜〜〜!!!」
の打ったショットは、見事なまでにヘロヘロボールで、それはまるで周りにいる者が同情する程、ヘロヘロだった。
そこへ司馬懿の怒声が響き渡る。
「ごめんなさいぃ!」
はペッペッと唾が飛びそうな勢いの司馬懿に、手を合わせて謝る。
「ぬぁあにが『ごめんなさいぃ』だ!こっの……馬鹿めがあぁあ!!」
その後、が使えないと分かった諸葛亮・月英チームにより、がある意味集中攻撃を食らい、司馬懿はまたも負け戦という結果で終わる。
軍師対決・第二回戦も、諸葛亮に軍配が上がった。



